NHKにモノ申す!

2004年6月24日放映
難問解決 ご近所の底力 “竹” に反論
赤い文字で書かれた文言は、放映された文言をほぼ忠実に掲載あるいは要約したつもりです。
オープニングのプロローグで:

「・・・竹取の翁が“かぐや姫”と名付けたとさ!」

とのナレーションでした。

しかし、“竹取物語”の原文では、翁が“みむろとのいんべのあきた”に頼んだところ、なよ竹の“かぐや姫”と名付けられたと書いてあります。
ですから、かぐや姫と名付けたのは竹取の翁ではありません。
NHKは原文に目を通したのでしょうかね?

「日本人に親しまれてきた竹。その竹が今、私達に襲いかかろうとしています。」

“襲いかかろうとしている”という表現は、“竹は恐るべき性質を有する危険極まりない植物である”と強調したかったのでしょうが、これは、竹をそのような姿にしてしまったのは人間であって、竹はまったくそんな怪物でもなければ、私達に襲いかかろうとする植物ではありません。
このことについては、くわしく後述します。

「一日に1メートルも伸びる脅威の生命力。」

“タケノコが一日に1.2メートル伸びた”という記録(上田弘一郎:1963)は、タケノコの全伸長期間での最大値であって、それは成竹した時の高さの半分ぐらいに伸びた時期です。
しかし、画面では地面から出たばかりのタケノコが一挙にドカッと1メートルも伸びるかのように動画で表現されていました。普通、地面に出たばかりのタケノコは数センチしか伸びません。どうしてこんな非科学的な表現をしたのでしょうか。まったく理解に苦しみます。

「畑や雑木林を次々と浸食。大雨が降れば土砂崩れを起こす可能性がある」

“・・・次々と侵食”については、後で詳しく論議しますが、“大雨が降れば土砂崩れを起こす可能性がある”は、後で話題になる高知県春野町の例から出たのでしょう。
しかし、これには色々な条件が関係します。ですから、ここで一概に“すべての竹林が土砂崩れを起こす”かのごとくに放映されれば、古くから農家の裏山に竹を植え、生活の一部として竹林と共存している人々に大変な不安を与えることになります。

“もしかして、おらが裏山の竹林が土砂崩れを起こして、おらが家をつぶすのではないか”と恐れおののく農家が少なくないと思います。
そもそも、農家の裏山に竹林が存在する風景は、日本の典型的な農村風景になっているほどです。
そのような状況の中で、“竹林が土砂崩れを起こすものと決めつけるような報道”をする必要があるなら、その科学的な根拠を明確に示さないと、いたずらに不安をあおるだけです。
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